- コラム
チャージバックとは?主な原因や発生時の流れ、必要な対応を解説
ネットビジネスなどで欠かせないのが、クレジットカード決済です。キャッシュレス決済を選ぶ人が増えるなか、そのうちクレジットカード決済は今や約9割を占めています。そんなクレジットカード決済の導入では事業者側にもメリットが多い反面、お客様のクレジットカードが不正利用の対象になってしまうという事態に出くわす可能性もゼロではありません。
今回は、事業者の方へ向けて、売上が回収できなくなる「チャージバック」という処理について、その原因やチャージバックに至る流れ・すべき対応などを解説していきます。
チャージバックとは
チャージバックとは、ECサイトなどで売上処理が行われた取引について、購入者が「買った覚えがない」といった理由で決済に同意しない場合に、クレジットカード会社がその売上を取り消し、購入者へ返金をする、という処理のことを指します。
チャージバックが発生した場合、購入者には返金されますが、ネット店舗などを運営する事業者側(クレジットカードの加盟店)としては売上が回収できないという事態になります。商品を発送したあとのケースでは、その商品は不正利用者に届いている場合が多いですので、加盟店側は売上のみならず商品の回収も難しくなってしまいます。
チャージバックの主な原因
コロナ禍においてECサイトでの商品購入率は急速に増え、キャッシュレス決済を選択する人も増えています。これに比例してクレジットカードによる不正利用の被害も増え、2021年におけるその被害総額はなんと330億円にも上りました。これにともない、チャージバック処理の件数も増加しているのが現状です。
事業者側がチャージバックによるリスクを被らないためには、まずはその原因を知っておくことが大切です。チャージバックが発生する原因としては、次の5つが挙げられます。
クレジットカード情報の漏洩や流出
クレジットカード番号などの個人情報が漏洩し、不正に利用されてしまうことがあります。これはネットショッピングでのクレジットカード決済の利用時に限らず、スキミングやフィッシング詐欺による被害のケースも増えてきています。
フィッシング詐欺とは、大手銀行やECサイトを装った偽メールを受け取った人が、誘導に載り偽サイトへアクセスしてしまい、ID・パスワード・クレジットカード番号などを入力したことにより個人情報を盗まれるというもの。偽メールや偽サイトの作成は巧妙化してきていますので、フィッシング詐欺に遭っていることに気がつかない人も多いようです。
クレジットカードの盗難や紛失
クレジットカードそのものを物理的に盗まれたり、誤って落とした際に拾われたりしたあとに不正利用されるというケースです。
インターネット上のショッピングでクレジットカード決済を利用する際には、クレジットカード番号や有効期限の他に、セキュリティ性を高めるためにカード裏面に記載されている3桁もしくは4桁のセキュリティコードの投入が必要となることもあります。
しかし、クレジットカードそのものを物理的に盗まれた場合には、そのセキュリティ性は生かされないことになってしまうのです。
商品やサービスの未受領
購入者がECサイトなどでクレジットカード決済を行ったにもかかわらず、販売者より商品が発送されないといったケースでも、購入者からクレジットカード会社へチャージバック処理の要請がされることがあります。
ただし、このような商品・サービスの未受領によるチャージバック要請については、加盟店(事業者)側で管理体制の見直しをすることで未然に防ぐことが可能です。
商品やサービス料金の支払い拒否
ECサイトなどのショッピングでクレジットカード決済を行い、商品も受け取ったものの、サイト上の説明と異なる商品であったり、壊れているなど欠陥品であったりする場合に、購入者が支払いを拒否するケースもあります。この場合も「商品やサービスの未受領」のケースと同様に、お客様からクレジットカード会社へチャージバック処理の要請が行われることになります。
サイト提示商品と異なるものを発送するといった行為は、チャージバックだけでなくお客様からの信頼も失うことにつながりかねません。こちらのケースも、加盟店側で管理体制の見直しをすることで未然に防ぐようにしましょう。
そのほかの理由
上記以外にも、次のような決済処理上のミスがチャージバック発生の原因となることがあります。
- お客様から加盟店への支払いが複数回にわたり処理されていた
- クレジットカード会社が承認していない請求を行った
チャージバック発生時の流れと必要な対応
チャージバックの実行により売上の入金がされなくなった場合、加盟店側は損失を受けることになります。しかし、チャージバック処理はすぐに実行されるわけではありません。チャージバックは複数の工程を踏みますので、クレジットカードの加盟店となる事業者側も、その仕組みを把握しておくようにしましょう。
こちらでは、ECサイトでのクレジットカード決済後に受け取った商品が不良品であったというケースを例に挙げて、チャージバックが発生した場合の流れや必要な対応を解説していきます。
①クレジットカード名義人がカード発行会社に連絡をする
商品を受け取ったものの不良品だったため、お客様としてはこれでは商品を受け取れないと判断します。そこで、お客様(クレジットカード名義人)よりクレジットカード会社に「取引の拒否」の連絡を入れることになります。
②クレジットカード発行会社がチャージバックを行う
クレジットカード名義人より連絡を受けたクレジットカード会社は、異議を申し立てられた商品の状態や配達状況、取引の正当性などを調査し、チャージバックを実行すべきかどうかを判断します。
その際に、加盟店側でも取引に関する証明資料を提出することになりますが、今回のような不良品の配達によるケースでは加盟店の管理不行き届きということになりますので、反証することは難しいでしょう。
クレジットカード会社がチャージバックの実行対象として適当であると判断した場合には、クレジットカード会社よりお客様へチャージバックが実行されます。お客様側としては、クレジットカード会社からの引き落とし前であれば利用情報の削除、引き落とし後であれば返金手続きがなされることになります。
③EC事業者からクレジットカード発行会社に返金させられる
チャージバック実行の決定とともに、加盟店(事業者)にもその理由と通知がなされます。クレジットカード会社より加盟店へ売上金額がすでに入金されていた場合には、その金額をクレジットカード会社へ返金することになります。
また、お客様への謝罪やフォローなどをしっかりと行います。
④EC事業者からお客さんに返送依頼をする
お客様へのフォローとともに、送付した不良品の商品を着払い扱いにて返送してもらえるよう、お客様に依頼します。チャージバック処理要請の理由がクレジットカードの不正利用のケースでは、第三者に商品が届いているため、商品を取り戻すことは難しくなります。
【その他】EC事業者が証拠を示してチャージバックを撤回させる
お客様の利用時の属性情報を提出したり、配送伝票などの証拠を提出する事によってチャージバックを撤回させることも可能です。しかし、利用者があくまで本人が利用したと認めない限りなかなか覆らない事例もあります。
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まとめ
チャージバックはクレジットカードの不正利用などから消費者を守ることを目的とした返金処理システムではありますが、事業者としては最悪の場合「売上未回収+商品損失」というダブルリスクを招く可能性が高い処理でもあります。
事業者としては、できるだけチャージバックとならないようにするためにも、商品の管理体制を見直すことはもちろん、販売時に利用者の本人確認をサービスを提供している決済代行業者の導入を検討することをおすすめします。