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キャッシュアウトとは?日本で浸透しないワケや、メリット・注意点を解説

現金以外の支払い方法の1つに「キャッシュアウト(キャッシュアウトサービス)」というものがあります。実は日本ではあまり浸透していないため、キャッシュアウトについて詳しく理解していないという個人事業主の方も多いかもしれません。
今回は、そんなキャッシュアウトの仕組みやメリット、さらには注意点に加えて各業界に与える影響などについても解説していきます。
キャッシュアウト(キャッシュアウトサービス)とは
キャッシュアウトとは、店舗で商品を購入する際に、次の2つのことが可能となるサービスです。
- 金融機関のキャッシュカードで決済できる
- 買物がてらレジで現金を引き出せる
たとえば犯罪率の高いアメリカでは、公共料金の支払いや店舗での高額な買物時には、自分の銀行口座と紐づいた小切手(Personal Check)やデビットカードによる支払い方法や、買物がてらレジをATM代わりにして現金を引き出すことが一般的となっています。
現金の所持だけでなく、ATMの存在自体が盗難に遭う可能性もあるためです。アメリカではクレジットカードも多く利用されていますが、実際にはデビットカードの発行数のほうが上回っています。
日本でも同様に、チャージ済みの電子マネーで決済するのと同じように、キャッシュアウトでは会計と同時に自分の銀行口座にあるお金が引き落とされます。つまり、日本では「デビットカード」に近い存在だといえるでしょう。ちなみに日本で「キャッシュアウト」といえば「②現金の引き出し」のほうだと捉える方が多いようです。
キャッシュアウトが日本で浸透しないワケ

多額の現金を持ち歩く必要がなく、お金を使い過ぎることがないというメリットがあることから、諸外国で広く浸透しているキャッシュアウト。皆さんもご存じのとおり、キャッシュアウトはあまり浸透していません。理由としては、世界でも犯罪率の低さで上位に位置する日本では、現金取引が根強く存在していることが挙げられます。
日本でデビットカードのサービスが開始されたのは2000年ですので、実はすでに20年以上の歴史があります。しかし、デビットカードによる「現金の引き出し」については、2017年の銀行法改正によってやっと許可が下りたという経緯があることから、諸外国に比べてキャッシュアウトの普及率の低さにつながっているのです。
近年のコロナ禍では、日本でもクレジットカードやスマホ決済など非接触型の決済方法へのニーズは高まってきています。しかし、クレジットカードに対しては「お金を借りる」というイメージがある人も少なくないのが現状だといえるでしょう。
キャッシュアウトのメリット
店舗やネットショップでの決済にキャッシュアウトサービスを導入した場合、店舗側とお客様側の双方にメリットがあります。そんな便利なキャッシュアウトサービスを利用しないのは、店舗側にとってももったいないことです。
デビットカードは、お客様自身の銀行口座にある貯金額の範囲内でのみでしか、買物に使えません。「使える金額が現実的に決まっているクレジットカード」ともいえるかもしれません。そのため、クレジットカードを作りたくないというお客様の集客も可能になります。
また、キャッシュアウトに対応している店舗では、レジでの会計時に現金の引き出しも可能です。現金を下ろしたいときにATMへわざわざ行く必要がなくなるため、手間を省きたいお客様が好んで立ち寄ってくれる可能性が高くなります。キャッシュアウトの便利さに気づいたリピーターの確保にもつながるでしょう。
キャッシュアウトの注意点

メリットが多いキャッシュアウトサービスではありますが、次のような注意点もあります。導入前には、注意点についてもしっかりと把握しておきましょう。
ネットショップや店舗でキャッシュアウトサービスを利用する際は、お客様が金融機関でデビットカードを作成しておく必要があり、専用のスマホアプリも準備しておかなければなりません。デビットカードの発行には時間がかかる場合もありますし、高齢者の場合にはスマホアプリの扱いが得意ではないお客様も多いでしょう。
店舗側としては、キャッシュアウトシステムを導入する必要があります。初期費用と月々の運用費用がかかるのはもちろん、システムを扱うスタッフの研修を行うことも考えておかなければなりません。こちらの注意点については、必要十分な機能と抑えたコストが実現できる提供会社を選ぶこと、スタッフにしっかりと研修の場を準備して慣れていってもらうことが重要です。
キャッシュアウトが各業界や業種に与える影響
キャッシュアウトの導入は、店舗側とお客様だけでなく、各業界や業種にも影響を与えます。導入の前に、この点についてもぜひ知っておきたいところです。
- ATMが不要になることから、ATM製造企業やメーカーが打撃を受ける
- デビットカードの発行数が増えることにより、クレジットカード会社は不利になる可能性が高い
- 同様に、電子マネーを運用する会社も不利になる可能性がある
ATM製造企業・メーカーでは、沖電気、富士通フロンテック、日立ターミナルメカトロニクスなどが挙げられます。
クレジットカード会社については、VISA、Master Card、JCBなどのブランドを主催している大元の会社はデビットカード決済の管理も行っていることから、大きな影響を受けることはないでしょう。不利となる可能性があるのは、これらのカードブランドを使用しクレジットカード発行のみをする会社(クレディセゾン、イオンカードなど)だといえます。同様に、電子マネーのSuicaを発行・運営しているJR東日本などの会社も不利になっていくと考えられます。
まとめ

キャッシュアウトサービスを導入している店舗では、お客様が金融機関のキャッシュカード(デビットカード)で決済でき、さらに買い物がてらレジをATM代わりにして現金を引き出すことができます。店舗側ではサービスの導入にある程度準備が必要ではありますが、現金主義が根底に流れている日本では幅広い客層の確保に繋がるなどメリットは多いと言えるでしょう。
キャッシュアウトはお客様にとって便利なサービスであり、そんな便利な店舗にはお客様が集まる可能性が高いです。できるだけ集客をしやすくするためにも、キャッシュアウトの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
この記事の監修者

- 株式会社シマトモ
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